Billboard JAPAN


NEWS

2026/09/05 12:00

<ライブレポート>claquepot 20年近い年月で書き溜めた究極のセトリで表明した現在地

 2026年8月25日、東京・Zepp DiverCityにてclaquepotの自身最大規模となるワンマンツアー【claquepot zepp tour 2026 -キャリア-】が千穐楽を迎えた。6月にリリースしたEP『キャリア』を携え、東名阪福の4都市を巡った今回のツアー。そのステージには彼がこれまで積み重ねてきた音楽性と、現在地、そしてこの先への意思が凝縮されていた。自身の“キャリア”を更新するように駆け抜けた、東京公演をレポートする。

 バンドメンバーがステージに登場し、キーボードがメロディーを奏でるとclaquepotが登場。会場を埋め尽くしたオーディエンスの視線が一斉に彼へと向けられ、拍手と歓声が鳴り響く。そして、「楽しむ準備はできてるか! よろしく、claquepotです」という言葉とともに「リーズン」でライブが幕を開けた。この日はフルバンド編成でのパフォーマンス。全編を通して音源とは違うサウンド感やグルーヴ、アレンジで観客を踊らせていた。これぞ「ライブの醍醐味」だ。続く「pointless」、「オウライ」で一気に会場の熱気を高めていく。続けて「今回のライブは全編撮影可。だから、毎回毎回がハイライト。気を抜かずに最後までついてきてくださいね」と、「sweet spot」へ。会場のいたるところから歓声が上がり、オーディエンスの手も次々と掲げられていく。関係者席に目を向ければ、そこでも思わず身体を揺らす人々の姿が。立場や客席の場所を問わず、誰もが自然と音楽に身体を委ねてしまう。そんな光景から、claquepotが持つ「踊らせる力」の大きさが伝わってきた。

 オープニングパートを駆け抜けると、「キャリアってタイトルをつけてEPを出しましたけども、いろんな段階から僕のことを知ってくれた人がいると思うんですね」とMCへ。「作って歌ってみたいなことで言うと、もう20年くらい経つんです。そのどこかしらで出会って、今日集まってくれていると思うんですけど、『こんなことをやってた』『こんな曲を作っていましたよ』と丁寧に伝えていこうと思って。最後まで楽しんでいってもらえれば幸いです」と、今回のライブについて語っていく。そして、客席から向けられているスマートフォンを見て、「その画面に映っているリアルは、たぶんリアルじゃなくて。リアルを演出しようとしてやっているリアル、すなわちエンタメだと思っているんです。でも、それをガチガチのリアルだと勘違いする人も多くて。ギャップがあってメンタルが上下したりすることもあるけど、リアルはこの空間(Zepp DiverCity)にあるからね」と語っていった。

 「次の曲は、現実と作られたもののギャップをテーマにした曲です」と始まったのは「reflect」。「ストレス社会ですけど、今日はデジタルデトックスしていってください」と「detox」、「1人じゃデトックスできない人も多いと思います。そのためにライブがある。ここでしっかり嫌なこと全部吐いて、帰ってください」と「AUTO」へと繋がっていく。楽曲ごとに言葉を添えながらも、ステージ上では音楽と戯れるように自由な歌声を響かせていく姿が印象的だ。そして、過去曲を音源そのままではなく、このステージならではの表現へと昇華。既存曲にも新たな息を吹き込む姿からは、彼のアーティストとしての矜持が垣間見えていた。

 ここまで新旧の楽曲を織り交ぜながら、“キャリア”と“現在地”を提示してきたclaquepot。「もうちょっと昔のやつやりたいな」と、「Apple MusicとかSpotifyにちゃんと申請を出したのが2018年くらい。でも、その10年くらい前から作っていて。僕からすると『息子が20歳になった』みたいな感じ」と曲の紹介を始める。「昔の曲を小っ恥ずかしくて歌えねぇなってことは、僕はなくて。50歳、60歳になっても楽しく届けられるようにという気持ちで作っていたので、今は今の解釈で届けられると思いますし、当時聴いた人も今大人になって見方が変わるかもしれない。それが音楽の面白いところだと思っています」と思いを述べて、静かに「バイバイ」を歌い始める。

 繊細で優しい歌声で会場を包み込んだところで、「そんな昔の曲もあれば、ライブで育った曲もあります。まだまだ俺はキャリアを前に進めていきたい」と、「ahead」へ。オーディエンスを煽ろうとするも、すでに会場中の手が挙がっている様子を見て、思わず「すげえな!」と笑みをこぼしていた。その勢いのまま〈進め 進め 進め 進め〉と大合唱とクラップが鳴り響いて一体感に包まれる中、「お礼を」と言わんばかりに〈去年は兄弟でやったけど 今日は一人でカマしてるぞ またワンマンもっとデカいところでやると ここで約束しよう 次のフェーズ!〉と即興で歌い、この日一番の盛り上がりを生み出していた。すると、赤い照明に包まれてギターの音が鳴り響く。バチバチの熱い演奏をきっかけに、「resume」がスタート。オーディエンスをさらに熱狂させていった。ここで「まだ配信されてない新曲やります!」と、新曲「トリップ」へ。クラブミュージックにラップが乗っている楽曲で、新曲にもかかわらずオーディエンスは瞬く間に楽曲を自分たちのものにしていく。その様子を見たclaquepotは、「適応力、花マル!」と満足げな表情であった。

 MCでは、「実際見て、感じて、持ち帰って、考えてという一連の流れがないと、本当の感動とは言えないのでは、と僕は思っていて」と「トリップ」に込めた思いを語っていく。「この旅行先がおすすめです、っていうのを参考にするのはめっちゃいいと思います。けど、それで行った気になったり、見た気になったりしてるっていうのは、使い方を間違えてんじゃないかなって。本質は実際に足を運んで見にいかないとわかんないじゃないですか。そういう経験を大事にしたいなと。それでダメだと思ってもいいじゃん。そこを話し合うのが人間関係の面白さだし、その人のことがわかったりする。そういうことをテーマにした曲です」と話していった。

 そして「次の曲にも通ずる」と、好きなものを好きに楽しんで、自分の「好き」に自信を持ってほしいとメッセージを送りながら、「ラヴィン」へ繋げた。そして、「好きなものや好きな人がいれば最高。でも、なくても全然OK! 生きているだけで最高、そういう曲」という言葉とともに、「リビング」が飛び出すと、会場はどこかハッピーでリラックスした空気感に包まれていった。

 ここで、「もう後半戦です」とアナウンスが。オーディエンスは「えー!」と声を上げるも、すぐに「はぁ~い」と納得する。これはツアー内で生まれたやり取りだそうで、claquepot曰く「『最後の曲です』『えー!』って、J-POP史で何年やってるのって。『えー!』と言ったところで、こっちは曲増やさんって」。「曲を増やすおおらかなアーティストがいるかもしれないけど、俺は断じてやらないよ」と続けると、再び「えー!」、「はぁ~い」というやり取りが繰り返される。claquepotは「とりあえず、すべて否定させないというところまでは育てられた感じがする」と笑って見せていた。

 和やかな雰囲気になったところで、次の曲へ。スマートフォンのライトをつけるように指示を出すと、「今日最後なので、私もこっち側から撮ろうかな、と」とカメラ付きサングラスに掛け替える。「OK、じゃあ行ってみよう」を合図に、青の照明が会場を包み込む。「ターコイズドリップ」だ。そこにスマートフォンのライトが光り、美しい風景を作り上げていた。claquepotも「最高です。ありがとうございます。しっかりと残せたと思う」と誇らしい表情を見せる。続いたのは「ランダバ」。「ライトを消した分、しっかりぶっ飛んでいけますか!」という言葉に応えるかのように、フロアの熱気は一段と高まっていった。

 そして、ラストナンバーは「必ず戻ってきます。いや、もっとデカいところでやれるように頑張るっす! 自信がある。なぜならば、ライブも曲を作るのも好きでやっているから」という曲振りで、「アグノス」。ステージの後ろから強く光が当たり、シルエットとなったclaquepotが紡ぐ言葉は、“歌詞”ではなく、“心からの言葉”のように聞こえる。途中、〈上げるのは再生回数 ではなく誰かの体温〉を〈上げるのは再生回数 ではなくZeppの体温〉と替えて歌うと、大きな歓声が巻き起こる。そして、ラストは〈好きだからやってる〉で暗転し、そのままライブは終了。引き際の美学を披瀝して、ステージを去っていった。

 自身最大規模となるZeppツアーを完走したclaquepot。EP『キャリア』の楽曲を通して現在の音楽性を示す一方、過去曲ではこれまでの歩みを振り返りながら、今の自分らしい表現へと更新してみせた。さらに、MCでは音楽を通して観客の日常に寄り添う姿勢も覗かせる。そして、「次はもっと大きなステージへ」という言葉とともに、claquepotは新たな“キャリア”へと歩み始めていった。


Text by 高橋梓
Photos by Kaito Ono

◎リリース情報
EP『キャリア』
2026/6/17 RELEASE
<初回生産限定盤(ミニAL+Blu-ray Disc(スマプラ対応))>
AVCD-63884/B 9,900円(tax in.)
<通常盤CD(スマプラミュージック対応)>
AVCD-63885 3,000円(tax in.)

関連商品

キャリア
claquepot「キャリア」

2026/06/17

[CD]

-

キャリア
claquepot「キャリア」

2026/06/17

[CD]

-

recruitment
claquepot「recruitment」

2023/12/20

[CD]

¥3,850(税込)

the test
claquepot「the test」

2022/12/14

[CD]

¥4,400(税込)

the test
claquepot「the test」

2022/12/14

[CD]

¥6,600(税込)

キャリア
claquepot「キャリア」

2026/06/17

[CD]

-

キャリア
claquepot「キャリア」

2026/06/17

[CD]

-

recruitment
claquepot「recruitment」

2023/12/20

[CD]

¥3,850(税込)

the test
claquepot「the test」

2022/12/14

[CD]

¥4,400(税込)

the test
claquepot「the test」

2022/12/14

[CD]

¥6,600(税込)